-刹那主義的四輪劇場-
第20回紹介作品
「ブロス やつらはときどき帰ってくる」
監督 トム・マクローリン
出演 ティム・マシスン
91年米
劇中メインカー 1955年型 シェビー
みなさんこんにちは。
今回紹介する映画は、私が好きなロカビリーテイストあふれるなかなかの秀作、
「ブロス やつらはときどき帰ってくる」
です。
妻と一人息子をもつ高校教師ジムは、数十年ぶりに故郷に戻り、母校に赴任し担任を受け待ちます。しかし、教室の中で彼が目にしたものは、かつて自分の兄を殺害した不良達の姿だったのです。それも何十年も経っているのに、その不良達は、当時のままの顔、身体つき。顔面蒼白でこちらを睨みつける表情は不気味そのもの。
はい、この不良達、御察しの通り幽霊なんですね~。その昔、主人公ジムに恨みをもったまま他界したので、いつか復讐してやろうと機会を伺っていたのです。そこへ大人になったジムが教師として赴任してしまうわけです。不良グループは幽霊とはいえ、昼間、高校の教室でクラスメートと談笑したりタバコを吸ったり、他の人間にも普通に「目で見える」幽霊なのです。
そして彼らが生前、生活を送っていた1950年代のままのファッションなので、ブラックレザージャケットにブルージーンズ、ヘアスタイルはリーゼントでキメ、耳にはタバコを挟めるなど小粋ないでたちです。50sティーンエイジャーの不良スタイルで現れる幽霊なんて、なかなかイカしてますよ。
そんな彼らの愛車が黒い1955年型シェビー。
ボディサイドにスキャロップと呼ばれるド派手なペイントを施し、マフラーから巨大な炎を巻きあがらせて疾走する恐怖の火の玉カーなのです。彼らが生前コツコツとカスタムしたクルマなのでしょうね。このクルマが本物なのか、また、不良達と同じくクルマすら幽霊なのか、それはわかりませんが。
ちなみに味方の幽霊も現れます。主人公ジムのお兄さんの幽霊です。かつて不良達にいじめられていたジムを助けるため、不良達と共に亡くなってしまったお兄さんが、弟の窮地を救うために霊界からやってくるのです。その姿は、やはり亡くなった時と同じ少年のままです。
この映画、単なるホラーではなく、家族愛、兄弟愛なども描かれている傑作だと私は思います。
もし今、「兄弟ゲンカしている」、「お兄ちゃん、お姉ちゃんと仲が悪い」といった人がいたら一度ご覧いただきたい作品です。
阿部